●亀澤・三菱UFJ社長、銀行機能を異業種企業に提供へ「フィンテック企業との提携増やす」(日経 2022/1/13)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD113PS0R10C22A1000000/
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤宏規社長が、個人向け金融について今後、金融サービスをBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)に切り替える考えを示した、という記事。
曰く、「異業種企業に銀行機能を提供し、そこから金融サービスが生まれる」。
ここに書いているBaaSとは、銀行など金融の会社が預金・融資など金融サービス機能をAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)を通じて企業のアプリやサービスに提供する仕組みのことだ。
小売りやITなど異業種企業がAPIを組み込んで、彼らのサービス上で金融類似サービスを提供する、というとイメージしやすいかもしれない。
自分はこのブログで常々、「古い金融はe-コマースに飲み込まれ、その一つのセクターになってしまう」かもしれない、などと書いてきた。
(2021年8月15日『メルカリ黒字化とIT企業経済圏とNFT。そして「新しい金融」』、2021年8月2日『「新しい金融」とシニア金融マン』、2020年1月28日『「金融サービス仲介業」のニュース』、2019年12月29日『みずほとソフトバンクの情報銀行に思う(乱文)』など)
亀澤社長は「銀行支店は今の形のままでは残らない」と明言し、資産運用相談などの機能に特化した店舗を増やす方針を示したという。
これも、自分は「今の金融マンは、これから同じような働き方を続けられない」とたびたび書いてきた。そして、「既存の銀行や証券といった“古い枠組み”でしかものを考えられない人は、時代に置いて行かれる」という警鐘を続けてきた。
(上記のほか、2020年9月2日『金融庁長官のスピーチと「徳の経済」①~③』、2020年2月23日『シンガポールのネット銀行にe-スポーツ企業が参入』、2019年6月19日『Facebookの仮想通貨「Libra」』など)
もっと言えば、自分たちシニア世代への「世の中は変わる、既に変わっている。我々も変わらなきゃ!」的な警鐘もこのブログを書き出した当初から続けてきた
(2021年10月14日『「安い日本」と中抜き体質の日本的経営。「45歳定年制」に思う』、2020年11月18日 『NTTのスマートシティ構想―知ったかぶりと、呪文』、2020年10月5日『オジサンたちは変わらなければならない』、2019年7月22日『世の中は変わる、とみんな言い出している。“自分に期待”しよう』、2019年3月28日『前へ、歩こうかぃ』、2018年12月14日『いいと思います。あとは・・・ その2~3』、2018年4月21日『「変われない」のか「変わりたくない」のか』①~⑨、等々)
誰もほめてくれないので自画自賛するが、自分がこれまで持ってきた現在の金融ビジネス従事者、あるいはシニア世代への問題意識は、おおむね「正しかった」と思っている。自分には先見の明があった。自分の問題提示はほとんど誰にも聞いてもらえなかったけれど(有っても薄い反応しかなかったけれど)、自分は間違っていなかった。
それでも、実際にメガバンクの社長が「今後、『新しい金融』に舵を切ります。古い金融の組織は縮小します」(上記日経記事の、筆者による勝手な意訳)と言い出すのを聞くと、これから始まる変化に、つい、恐れおののいてしまう。
●みずほ、平成入行組に改革託す 激論の末に木原社長起用(日経 2022/1/11)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB102A60Q2A110C2000000/
そして、度重なる不祥事で組織変革に迫られたみずほフィナンシャルグループに「平成入社」の社長が誕生した(まったく、2022年は目に見えて「変革の年」だ!)。
これから、メガバンクはじめ大手金融機関で「新しい金融」の波が始まり、古い組織や人々の多くを駆逐していく動きが出るだろう。
(もちろん、日本の正社員は手厚く守られているので雇用が危うくなることはないが。)
自分が勝手に“仲間”だと感じている、(ミドル含む)「シニア金融マン」たちの心情に沿って考えると、これほど薄ら寒い時代はない。
●マネーフォワード辻社長 「人材採用力が成長力」(日経 2022/1/15)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB148O50U2A110C2000000/
実際、三菱UFJがBaaSで提携しているのは異分野のIT系の会社で、そのエンジニアの3割は外国人だという(上記日経記事より)。
これでは、シニア金融マンたちと被る要素は全くない。
だからこそ・・・。
このブログでも書き続けてきたように、現在ミドルやシニアの金融マン一人一人は、「組織から個」への転換を図るべきだ。
組織の中で居場所がなくなるのは、非常につらいものだったりする。
世の中の価値観が変わり、組織が自分に求める役割が満たされなくなると、急に自分が「価値がない人間だ」などと思ってしまうものだ。
もちろん、決してそんなことはない。
もし組織からの需要がないのであれば、自ら需要を切り開くべし、だ。
シニア金融マンたちには、これまで仕事やプライベートで獲得してきた“見えない”価値が豊富にあるはずだ。
そこで必要なのは、個としての「つながり」だと思う。
変化が激しい世の中なので、常に学習をして、自らを“バージョンアップ”し続ける必要もある。
「人生100年時代」と言われて久しい。実年齢にこだわって自らの可能性を狭めてはいけない。
2022年、この激動の年の初投稿は、自分自身への鼓舞も込めて、同世代の“仲間たち”へのエールとしたい。