この間、以下の記事を書いた。その中で、“官民一体となって”という言葉に対し、ややアレルギー的ともいうべき反応をしてしまったかもしれない。
経団連の提言『デジタルエコノミー推進に向けた統合的な国際戦略の確立を』には、以下のような文章がある。「デジタルエコノミーは、世界の経済成長を牽引する一方、既存産業を破壊するデジタル・ディスラプションを起こしている」「すべての既存企業は、自らも変革に対応・先導しなければ(中略)、一気に市場を奪われることになる」「我が国としても、次代を担うベンチャー企業の創出・育成に国を挙げて取り組みつつ、既存のあらゆる企業が破壊に対応し、デジタル革新を遂げなければならない」
その通りで、視点は正しいと思う。ただ、だからと言って、“前向きに変わろうとしている人たち(主にベンチャー)”を虐げ、“変わりたくないと言ってる人たち(主に大企業のオジサンたち)”をことさら優遇しないでね、ということを言いたかったに過ぎない。なにせ、「経団連」だもの。
あと、“次代を担うベンチャー企業の創出・育成に国を挙げて取り組み”の中に、上から目線の恣意的な選別が含まれるようではよくないんじゃない? という気もしたので、それも記録しておく。
自分がオジサンだからわかるが、今、オジサンたちが一番、時代の変化に戸惑っている。でも、現状にしがみつくのでなく、また、ことさら若いパワーに蹂躙されるのでなく、真摯に変化に向き合う姿勢が必要なのだと思う。偉そうに書いてしまい、やや気恥ずかしいが。
[…] 前の記事を書きながら、少しほろ苦い気分を思い出した。以前書いた『コンテンツファンド革命』にまつわる話だ。 […]
[…] “日本丸”“日本企業の大連携”“日本再生プラン”。自分も日本人なので、この言葉の響きに弱かったりもする(これに“官民一体となった”が加わると、若干、感情的になるが(笑)(10/15追記:参照))。 […]
[…] さて、ここやここで、自分の「官民一体となって」アレルギーについて書いたが、今、政府は「2023年までに20社のユニコーンを創出する」ことを成長戦略の目標に明示し、自分は知らなかったが今年の6月には経済産業省が主体となった官民連携のスタートアップ育成・支援プログラム「J-Startup」が開始されているようだ。 https://forbesjapan.com/articles/detail/24038 →11/22 Forbes Japan「今後の日本を支える、スタートアップのあり方とは? 2023年までに20社のユニコーン創出へ」 このプログラムでは、スタートアップ企業の支援を政府が大企業が“サポーター”となって行う、というもので、有識者の審査・お墨付きを与えたスタートアップのベンチャーを大企業が資本参加した上で経営参画し、支えていこう、というものだ。 大企業とスタートアップの競創、ということで、身動きのいいベンチャーと地道に研究開発を行ってきた大企業の“埋もれた”部門を結びつける、といったことがこのプロジェクトの狙いらしい。 これも、非常にいいことだと思う。素晴らしい、とも思う。ただその反面、「方向性はいいけれど、実際にうまく回るのだろうか?」という懸念があるのも事実だ。 例えば、経営の独立性はきちんと担保されるのだろうか? 経営者のフリーハンドはどの程度確保されるのか? 大企業がガバナンス面は担うとして、実務面でベンチャー側の自由闊達さと大企業の優秀なスタッフとの融合はうまく図れるのか? などなど。おそらく、ケースバイケースなのだろうし、すべてのジョイントがうまくいかない、などということはないだろうが。 […]