数日前に読んだ記事で、ここ数日、もやもや、むかむかしていた。
ブログに書こうかどうしようか逡巡していたが、あえて警鐘を鳴らす意味で(そして現時点での自身の考えの記録として)書き残したいと思う。
なお、自分は法律家ではないので、法的解釈については責任をもって書いているわけではない。また、仮想通貨やブロックチェーンの仕組みに非常に明るいわけでもないので、不正確な表現(あるいは誤り)があるかもしれないので、悪しからず。
【セナーという詐欺スキーム】
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37902050X11C18A1CC0000/
→11/18 日経「突かれた金商法の『穴』 ビットコインで出資募る」
SENER(セナー)というアメリカのファンド会社なるものへの出資が不適切な方法でなされ、そのファンド自体が詐欺案件である可能性があり、国内でその出資案件の投資勧誘にかかわった数名の人が逮捕された、というニュースだ。
セナーとは:
→11/14 ビットコイン予備校「SENER(セナー)とは?投資集団逮捕!会社概要・ボーナスプラン・運用方法を解説!」
(なお、この出展はググって出てきたもの貼り付けただけなので、内容について保証はできません。あしからず。)
このセナーの説明を読むと、セナーは、
・元本保証をうたっている
・追加ボーナスがある
・投資対象は株式インデックスや商品デリバティブ(→この説明文章自体、おかしな説明が書かれていて「?」だが、おそらく、そういうことだろう)
・アメリカ、ヨーロッパ、アジア全域に7つのオフィスを構え、32カ国以上で事業を展開し、顧客にトレーニングや投資管理サービスを提供している
・MT4という世界のFX市場で使われる取引プラットフォームを利用している
等々の性質があるらしい。
「元本保証で投資対象がリスク商品」というファンタジーのような投資商品、あるいは投資スキームのようだ。一方で、世界各国に拠点を置くグローバルな体制(=一定の資本力が要求される)が必要のようだ。
元本保証の仕組み(保証可能な資本力のある第三者の存在など)を探したが、このページでは、よくわからなかった。というより、それはもともと考慮されていないのだろう。
かわりに、
「金額のマッチング:SENER(セナー)は投資者の最初の投資額をドルに換算し、取引のために投資者のMT4アカウントで、利用可能な資本を事実上倍増させます。」
という文章。う~ん。。。わからん。
さて、上記の日経の記事を読むと、
・セナーは米国や欧州に事業拠点があるとされていたが、そのような拠点の存在は確認できていない
・集めた資金は実際には運用されていなかったとみられる
とある。
なるほどね。やっぱり。
つまり、ごたいそうな商品性をうたうものの、実態は「お金集め」だけが目的の、完全な詐欺案件である、ということなのだろう。もちろん、当局の捜査を待たないと確かなことは言えないが。
「インチキな詐欺師が捕まってスッとした」「騙されちゃった人は気の毒だけど、自分は騙されなくてよかった」「ときかく悪人が捕まってよかった」
めでたしめでたし・・・じゃないだろうっ!!!!
【金商法に問題があるって本当か?】
あえて、上の説明に加えなかったが、今回の逮捕についての説明記事の内容は、上記内容がメインではない。
この記事のタイトルは、「突かれた金商法の『穴』 ビットコインで出資募る」。
つまり、円やドルなどの法定通貨ではなくビットコインでお金集めをしたことが問題とされているのだ。
記事には「出資が全て仮想通貨であれば摘発は困難だった」、という警視庁の捜査幹部の言葉が記載されている。
そして、それは決済手段として仮想通貨を利用することへのルールが金融商品取引法に記載されていないせいであって、この点の規制を早急にかけることが望ましい、というニュアンスだ。
→その2
[…] 先日、こちらの記事に書いたとおり、おそらくICO規制をにらんだと思われる変な(筋違いで間違った内容の!)報道があったが、そのあたり、さっそく動き出してきた様子。 […]
[…] いわゆるユーティリティ・トークンについては、金商法の適応外、ということになるのだろう。それでも、先日、日経で読んだが、スイスではICO全般でKYC(顧客確認)の義務化を明示しているそうなので、そういった義務は募集者に科すことになるのだろう。 以前、ICOへの悪評があまりにもひどかったので、不適切な世論誘導をすべきではない、と記事を書いたが、STOが金商法規制の対象となることで、長期的には信頼回復していくことだろう。ブロックチェーンという記帳システムを利用するのに適した投資対象は無尽蔵にありそうだから、投資家が興味を示す様々な、新たな切り口の「金融商品」が今後、いろいろと登場してくることになるのだろう。有価証券ではなくデジタルデータであるトークンが管理対象になる証券会社など金融機関は、これまでのリソースをガラッと改めてよりコンパクトな体制に変換していくのかもしれない(とはいえ、現在の有価証券管理も、実態はデータ管理なのだが。。いろいろと余計な手間をかけている気はするが)。 […]
[…] コインチェック(マネックス)が、ユーティリティ・トークンのICO(Initial Coin Offering)を取引所としてサポートするIEO(Initial Exchange Offering)をビジネスとして検討を始めたようだ。 そうっすか・・・ようやく、日本で本格的なICOが始まるのかもしれない。 自分がここやここで書いていたことが、徐々に整理されつつあるのだろう。 […]
[…] このブログの「まちがってる!(セナーと金商法についての報道) その1~5」という記事で、当局の「暗号資産、ICOは悪」という恣意的な姿勢に憤っていたのは、まさにこのプロジェクトにかかわって居た頃だ。 (エクスキューズを言うと、当局は、当時、国内でも一部投資家層で過熱していたICO熱を何としても食い止めたかったんだろうし、そこには一定の理解を示す) […]
[…] 三菱UFJ信託のプログマでは、プログマコインを介してデジタル特典・会員権的な扱いの「ユーティリティ・トークン」(参照-昔書いた記事:2018年11月20日『まちがってる!(セナーと金商法についての報道) その1』~その5 、2021年8月25日『NFTをきっかけに、これまでと未来を考える』ほか)との互換性をうたっており、ファンマーケティングへの援用という発展が期待されている。 セキュリティ・トークンを発行する企業など発行体のファイナンスの際、ユーティリティ・トークンの活用も介した相乗効果を見込み、マーケティングの土台になるかもしれない。 そういう観点からも、自分は注視している。 […]