今度は大手広告代理店の電通が「個人データ銀行」ですか。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34811280Q8A830C1TJ1000/
→8/31日経。電通が「個人データ銀行」
日本でも急速に個人情報という“宝の山”を巡って誰が何を受け持つ、という役割分担が決まっていこうとしていますね。この流れのまま落ち着くのか、新たな流れがいろいろ出てくるのかはわかりません。
例の総務省・経産省の検討会
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_02000247.html
には電通の名前はないですから、別の動きなのかもしれませんし、おぜん立てされた主役として動いているのか、それはわかりません。
一個人にとっては個人データがどう保守されかつ有効活用されるか、ということが重要なので、IT系のイメージがない電通でいいのか?と思われないかが心配なところです。あくまで、人がそう思うだろう、ということで、自分が懸念しているというわけでもないですが(本音を言うといろいろあるのだが)。
その代わり、管理体制を確実に整え、もし漏洩などの際は重い責任を負うことになることでしょう。ただし、そんなことのために余計なコンプライチェック要員を増やさないでね、とは言っておきたいです。
前回、三菱UFJ信託の際(10/3にリンク先修正:http://www.lifeisentertainment.jp/2018/07/18/%E9%A0%93%E7%8F%8D%E6%BC%A2%E3%81%AA%E8%A9%B1%E3%81%AA%E3%82%89%E3%80%81%E6%81%90%E7%B8%AE%E3%81%A7%E3%81%99/)にも書きましたが、「個人情報を一元的に管理できるスマートフォンアプリを提供します」とありますが、こういう“おためごかし”な説明は何とかならないもんでしょうか?
いずれ、どういったシステムで、どういった許諾をし、その認証履歴がどう管理され、実際に企業に個人情報をどう交付するか、等々、内実をわかりやすく説明していただくよう期待します。
個人情報については、一元管理の「情報銀行」的な管理を求める声と、個人一人一人がサーバーを持って「VRM(企業関係管理)」を行うのが望ましい、する流れもあります。
(前回の記事以降、追っかけて勉強しました(笑))
また、個人情報といってもピンキリで、一度認証を与えたらすべての情報が筒抜けになる、というのも、一般的には拒否反応が大きいでしょう。そのあたりの調整も今後の課題でしょうね。
懸念するのは、個人情報利用を許諾した対価の割り当てについてです。個人的には、この辺りは次世代の大きな変革の種になりうると思っています。もし、電通のような大手企業が独占的にそれを差配する立ち位置になると、社会的に大きな(ネガティブな意味です)影響を与えかねないと懸念します。
大企業というのは非常に優秀なメンバーがいて優秀なチームがあるため、本来はイノベーションを起こしうる立場なのですが、一方で無言の組織の圧力(一定の同調圧力)があるため、自社有利に“囲い込もう”と、結果的にイノベーションを阻害しがちです。
むしろ、「個人データ銀行」を名乗る電通には、それこそ信託銀行が担うような、個人情報(あるいはその許諾情報の)のカストディアンとしての立ち位置に専念してもらい、資本提携先だけでなく幅広く産業を振興する方向を確立していただきたいと思います。
なお、上記はあくまでも同社のこの記事のビジネスがデファクトとして認められた場合は、ということです。実際には、さらに紆余曲折があるよう思います。
いずれにせよ、興味をもって見守りたいニュースです。
[…] (情報銀行についての記事で)以前書いたが、今後、個人情報提供に何を“対価”とするか、ということは、色々と工夫のしようがあるのではないか、と思う。 […]
[…] 以前、自分が最初に電通の情報銀行構想を知った際にブログ記事を書いたが、自分は、この情報銀行構想の肝は、この情報提供者(個人)に対する対価・報酬を何にするか、ということだと思っていた。 そういう意味で、汎用的な複数の電子マネーやポイントに交換される方向性は、非常にいいことだと思う。 […]
[…] このブログでも時々注目してきた(ここやここやここ)が、情報銀行というのは、個人データ、つまりいわば個々人の行動や考えを反映した多くの情報を企業マーケティングに活用させる接着点のサービスで、その対価がデータ提供した個人に還元されるビジネスモデルだ。その運営のためには適正な個人データの管理力と、データ提供先の企業の精査力が要求される。 […]